【朗読台本】

丹羽 月咲

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朝は雨。

無機質なコンクリートに打たれ、はね返るぽつぽつとした音。
其れをどこか頭の隅に感じながら、むくりと起き上がり、私は顔を顰(しか)めた。

雨の日は嫌いだ。

湿った空気に浸食されゆく、脳の働き。
いやはや困ったものだなと玄関の方を見つめ、そして深く溜息を吐(つ)く。

珈琲は好きだ。

目覚めの一杯。と言うほど大それた行事では無いものの、
この白い空間をゆったりと色付けするように充満してゆく香りはなんとも心地よいもので、

雨の日の憂鬱さも、
所謂(いわゆる)この淡々とした日々への彩色(さいしき)なのだと思えてくる。

朝は雨。

ぽつぽつと止まない音に身を委ねながら、私は今日とさよならをする。

朝は雨。

私は君とさよならをする。

朝は。雨。

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